兵庫県尼崎市の自宅で昨年11月、認知症の妻の首を絞めて殺害したとして、殺人罪に問われた同市西本町北通の無職、橋本幸夫被告(85)に対する判決公判が12日、神戸地裁尼崎支部であり、渡邊壮裁判長は懲役3年、執行猶予5年(求刑・懲役5年)を言い渡した。
犯行当時、被告は大腸がんの疑いがあると診断されたばかりで、警察の調べに「先に自分が死んだら、残される妻がふびんだと思った」と供述していた。
渡邊裁判長は、判決理由で、殺害動機について「被害者を1人で介護していこうという強い責任感が判断を誤らせた」と指摘し、「残忍で計画的な犯行で正当化される余地はないが、動機は理解できないものではない」と述べた。また「被害者の親族も被告人の献身的な介護に感謝し、寛大な処分を求める嘆願書を提出している」などとした。
判決によると、橋本被告は平成13年ごろから、認知症の妻、房恵さん=当時(80)=の介護を1人でしてきたが、昨年11月、自分に大腸がんの疑いがあると病院で診断され、残される房恵さんの将来を悲観し、同月11日午前2時45分ごろ、自宅マンションで寝ていた房恵さんの首をひもで絞めて殺害した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a
=20080312-00000921-san-soci
孤立する「老老介護」浮き彫り 認知症妻殺人判決
「被害者の冥福(めいふく)を祈り、正しく生き続けてください」。裁判長の言葉に年老いた被告は何度もうなずいた。認知症となった80歳の妻を、献身的に介護し続けた85歳の夫が殺害した事件の判決。公判の中では、行政に頼れず、周囲から孤立していく「老老介護」の厳しい現状が浮かび上がった。
判決などによると、橋本幸夫被告と房恵さんは昭和26年に結婚し、2年後に長男が誕生。しかし長男は小学2年生のときに交通事故に遭い、亡くなった。房恵さんは、そのショックから立ち直れず、平成13年ごろから認知症の症状が出始めた。
医師の診察を拒み、食事や着替えなど身の回りの世話は橋本被告がこなした。だが、症状は進み、房恵さんは夫のことも分からなくなった。「はよ子供のとこにいきたい」。失った息子を思いだしては泣いた。
橋本被告は献身的に介護を続けたものの、昨年11月、医師から大腸がんの疑いを指摘される。「妻の面倒を誰がみるのか」。介護の大変さを知っているからこそ親類に助けを求めず、介護保険で申請できたヘルパーを行政に依頼することもしなかった。
逮捕後、親類の男性に対し「ことを起こす前に相談しておけばよかった」と語ったというが、自身の病気から妻の将来を悲観し、孤立感が深まる中で犯行に至った。
2人が住んでいた尼崎市によると、市内では民生委員800人以上が地域ごとに介護が必要な高齢者家庭や独居老人などを見回っている。しかし、介護認定を受けていない場合、実態把握は難しいという。
高齢化社会が進む中、加害者、被害者がともに高齢の「老老介護」事件は増え、加害者の多くは橋本被告と同じ男性介護者とされる。判決で、渡邊裁判長は「もう少し現代医学や社会福祉機関を信じてくれたら、この結果にはならなかった。残念な犯行」とし、先月6日の論告で、検察側は「(事件の)遠因には高齢化社会に伴う国の福祉制度、介護制度のあり方が含まれている」と指摘した。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080312/
trl0803121239019-n2.htm
この件に関する過去記事
認知症80才妻を絞殺した末期癌85歳夫
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