米国政府などから日本政府に入った連絡によると、日本時間の9日午前4時15分ごろ、ペルシャ湾のホルムズ海峡南部で米原子力潜水艦ニューポート・ニューズと川崎汽船(東京都港区)の大型タンカー最上川(16万総トン)が接触した。双方の乗組員にけがはない。最上川は船底に傷が入って浸水しているが、自力航行が可能で、油漏れもないという。原潜にも放射能漏れはないと見られる。原潜が潜航していたのか、浮上していたのかは不明という。
外務省は事実関係の調査を米側に求めている。
川崎汽船から国土交通省に入った連絡では、最上川の船尾左側の船底に、潜水艦の先頭部分が接触したとみられる。最上川の乗組員らによると、短い間隔で2度大きな音がして、船体が大きく振動。左側の船尾に白い渦が見えた。その後、原潜から無線で、「衝突したらしい」などと連絡があった。最上川には日本人8人とフィリピン人16人の計24人が乗っていた。原潜は現場海域付近で待機していたという。
川崎汽船によると、最上川は重りとなる水をためるための「バラストタンク」の左側の一つが壊れ、約4000トン浸水したが、船体は安定している。低速で航行し、最寄りのアラブ首長国連邦で損傷の程度を調べるという。
最上川は原油28万トンを積んで日本時間の7日にサウジアラビアを出港、シンガポールに向かっていた。最上川は01年完成のタンカーで、全長333メートル、幅60メートル。
ホルムズ海峡は、イランとオマーンに挟まれた海峡。ペルシャ湾の入り口にあり、日本の輸入原油の8割以上がこの海峡を経て運搬される。
アラビア海周辺の海域では、米軍などが国際テロリスト集団による密入国や武器や麻薬の密輸などを取り締まる「海上阻止活動」のため、艦艇を派遣している。海上自衛隊もテロ特措法に基づいて補給艦を派遣。こうした活動を続けている多国籍の艦艇に燃料補給の支援活動を続けている。
日本船と米原潜の事故としては、2001年2月には米ハワイ・オアフ島沖で愛媛県立宇和島水産高校の漁業実習船えひめ丸が、浮上した来た原潜グリーンビルと衝突し、実習生ら9人が死亡する事故が起きている。
http://www.asahi.com/international/update/0109/011.html
原潜と接触 現場、往来多い難所 川崎汽船が情報収集
日本のタンカーと米原潜の接触事故が起きたペルシャ湾のホルムズ海峡は、船の往来が多く海流も速いため、潜水艦にとっては難所だと軍事の専門家は指摘する。原油の動脈で起きた事故は、海運業界や石油業界に安全確保上の課題を残した。
衝突したタンカー「最上川」を所有する「川崎汽船」本社(東京都港区)では、事故の一報を受け、9日午前9時過ぎに社内に事故対策本部を設け、情報収集にあたっている。
川崎汽船によると、事故が起きたのは日本時間9日午前4時15分ごろ。中東のホルムズ海峡南側の海域で、「最上川」の左舷側の船底に、潜水艦らしいものが衝突したという。
船内には日本人乗組員8人とフィリピン人乗組員16人の計24人がいたが、全員無事だった。
「衝突時には大きな音と揺れがあった」と報告があったという。積み荷の原油の流出もなかった。
船はおもりとなる海水をためておく「バラストタンク」の左舷側の一つが壊れ、約4000トンの海水が入ったが、船体は安定しているという。
「最上川」は今月6日にサウジアラビアの港を出港し、シンガポールに向かう途中だった。船は低速で航行しているが、いったん近くの港に停泊させるという。
最上川と用船契約をしている「昭和シェル石油」には、9日午前9時過ぎ、川崎汽船から「原油を積んだタンカー『最上川』が接触事故にあった」との連絡があった。
昭和シェル石油によると、「最上川」は、現地時間の7日午後7時半ごろ、サウジアラビアのジュマイマ港を原油を積んで出港したという。
■原油運ぶ航路 ホルムズ海峡
ホルムズ海峡は、サウジアラビアやクウェートなどから積み出された原油を運び出す航路に位置する。この海峡を経由してアラビア海に抜け、日本を含む世界中の消費地に運ばれる。
幅は約40キロ。このうち、大型タンカーが通行可能な水深がある場所は10キロ程度しかないとされる。戦略的な位置づけは極めて高く、80年代のイラン・イラク戦争時には臨検や拿捕(だほ)などの動きも相次いだ。このため、原油価格が高騰し、世界経済に大きな影響を与えた。
軍事評論家の江畑謙介さんによると、ホルムズ海峡は狭くて浅い中を多数の船が航行している。原潜にとっては沿岸部を走る船の音も含めて多数の音が聞こえてくるため、ソナー(音響探知機)だけで安全性を確認するのが難しく、潜望鏡を出せる深さまで浮上していた可能性があるという。タンカーの場合、油を積んでいた状態で海面から船底まで大きな船で30メートル。原潜が潜望鏡を上げるには海面から15メートルくらいまで浮上する必要があるという。
軍事ジャーナリストの田岡俊次さんによると、衝突現場付近のペルシャ湾は、イランの核開発問題に対する示威目的でアメリカの空母が入っている。ニューポート・ニューズはこの空母の前方を哨戒する目的で航行中だった可能性がある。「潜航中の事故であれば、回避の責任はすべて原潜にある」という。
◇
〈キーワード:ニューポート・ニューズ〉 米海軍の主力潜水艦であるロサンゼルス級攻撃型原子力潜水艦。水中排水量約6900トン。直径約10メートル、全長約110メートル。89年の就役。
ロス級潜水艦は冷戦中の76年から大量に配備が進められ、ジェーン年鑑によると、これまでに49隻が配備されている。騒音が小さく高速で航行できるのが特徴。魚雷のほかに巡航ミサイル・トマホークも搭載しているほか、兵士の輸送、インテリジェンス情報収集能力を備えている。
http://www.asahi.com/national/update/0109/TKY200701090175.html
ホルムズ海峡の位置はこちら↓
http://maps.google.co.jp/?ie=UTF8&om=1&z
=5&ll=26.313113,56.513672&spn=23.663831,28.037109
こちらはえひめ丸と衝突したグリーンビル。今回も同じロサンゼルス級原潜と言うことで載せてみました。

こちらが最上川
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