宇和島徳洲会病院の万波誠医師(66)を中心とする「瀬戸内グループ」が「生体腎、死体腎に次ぐ第三の道」と主張する病気腎移植。呉共済病院(広島県呉市)がさらに五件実施し、うち四件はほかの病院から提供されていたと公表、移植に使う病気の腎臓をほぼグループ内でやりとりする様子が鮮明になった。
万波医師が宇和島徳洲会病院と前任の市立宇和島病院で移植した病気の腎臓は、多ければ二十五件に上る。呉共済病院の光畑直喜医師(58)と同様、グループ内の医師から融通を受けていた。
弟の万波廉介医師(60)が岡山県内の病院で摘出した四件は宇和島に。香川労災病院(香川県丸亀市)の西光雄医師(58)が摘出したうち二件は万波兄弟に渡され、二件は呉に運ばれた。万波医師が市立宇和島病院で摘出した一件は呉に渡った。
四人は論文を共同で発表するなど、普段から協力関係にあった。廉介医師と西医師、光畑医師は岡山大の学生時代に知り合ったという。
鹿児島徳洲会病院(鹿児島市)で摘出された七十歳女性の病気腎は、市立宇和島病院に運ばれ万波医師の手で移植。鹿児島徳洲会病院の北島敬一名誉院長は以前、市立宇和島病院で万波医師の同僚だった。
万波医師は「病気腎を使うのは、提供者がいないから。死体からの移植が理想だが日本では増えない」と主張している。
http://www.shikoku-np.co.jp/kagawa_news/
social/article.aspx?id=20061109000148
万波医師:米国から死体腎を空輸して男女に移植 82年
手法や手続きが問題になっている一連の病気腎移植を執刀した万波誠医師(66)が、愛媛県宇和島市の市立宇和島病院に勤務していた82年6月、米国人女性の死体腎を空輸して県内の男女に移植する当時の日本では珍しい手術を実施した。男性は手術直後に死亡、女性も約2カ月後に拒絶反応を起こして腎臓を摘出し、人工透析生活を送った。05年6月に病死した女性の夫(68)が毎日新聞の取材に応じ、「妻は新しい手法の実験台だったのか。自分には詳しい説明はなく、今も手術が正しかったのか分からない」と話した。
夫の話などによると、女性は慢性腎不全に苦しみ、81年末ごろに同病院で万波医師の診察を受けた。しばらく人工透析を続けたが症状が悪化。移植を勧められたが適合するドナー(臓器提供者)が親せきにおらず、悩んでいる時、万波医師から「外国から腎臓を運ぶ方法ならある。どうしますか」と言われた。
「そんなことができるのか」。悩んだが、女性は「先生を信用してやってもらうよ」と手術を承諾。腎臓は、万波医師が研修したウィスコンシン大が無償で提供し、女性は82年6月21日、松山市の男性と共に、市立宇和島病院で移植手術を受けた。腎臓は19日に交通事故死した米国人女性のものだった。
空輸死体腎の移植は、日本では約1年前、仙台社会保険病院などで行われたばかりで、四国では初めてだった。地方都市で行われた万波医師の手術は話題になり、腎臓を輸送した技師らには宇和島市長の感謝状が贈られた。
しかし、男性は翌日に死亡。女性は7月に無事退院したが、8月ごろから微熱などの拒絶反応が続き、移植した腎臓を同病院で摘出した。この際、万波医師は「これはもう出しましょう」としか説明しなかったという。
万波医師はその後もたびたび腎移植を勧めたが女性は拒否し、05年に死亡するまで透析治療を続けた。夫には「もう移植は嫌。透析の方がまだまし」と話していた。
夫は自宅で取材に応じ、「万波先生は技術が高く、新しいことに挑戦したがっている印象を受けた。しかし、(空輸の死体腎移植が)珍しい方法だとか、(移植する)腎臓についての説明はあまりなかった」と明かした。「妻は長く生きられた。万波先生に恨みはない」とする一方、「病気腎移植などの報道を見て驚いた。外国からの空輸も『実験だったのでは』と思ってしまう」と静かに話した。
http://www.mainichi-msn.co.jp/photo/
news/20061112k0000m040142000c.html
『万波王国ルール違反』
一律否定は避ける
宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)の万波(まんなみ)誠医師(66)らが病気の腎臓を移植していた問題で、日本移植学会の大島伸一副理事長(61)は共同通信のインタビューに答え「病気の患者を臓器提供の源とする万波医師らのやり方には問題が多すぎる」と批判した。
万波医師らは、腎臓がんや腎動脈瘤(りゅう)、尿に多量のタンパク質が出るネフローゼなどの患者から腎臓を摘出し移植。大島副理事長は「がんの場合、移植を受けた患者ががんになる可能性があり、絶対にしてはいけない。ネフローゼの治療で摘出し、移植に使うなんて世界でも聞いたことがなく、思ってもみなかった」と指摘。
ただ腎動脈瘤や腎臓結石など良性の病気の場合、「治せば腎臓は使えることがある。生体間移植で提供者になろうとして検査したら見つかった場合は治して移植している。病気の腎臓を使うことが一律に悪いわけではない」との見方を示した。一九七三年から約三十年間で七百件の腎移植にかかわった大島副理事長も二、三件経験したという。
良性の病気の治療でも「腎臓を取ってくれという患者がいる」と万波医師は強調する。大島副理事長は「本当にそう言っているのか第三者が判定するなど、周囲が納得する手続きを取る必要がある。医師は患者より圧倒的に知識が多く、誘導しようと思えばいくらでもできる」と話す。
移植を受ける患者の選択についても「どういう方法がいいか、公の場の議論に持ち出すべきだ。“万波王国”のようなものをつくって、その中で勝手に臓器を融通するのは社会のルールに反している」と述べた。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20061111/eve_____sya_____006.shtml
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