陸上男子百メートルの世界記録保持者で04年アテネ五輪金メダリストのジャスティン・ガトリン(24=米国)が、禁止薬物に陽性反応を示していたことが29日、明らかになった。4月のドーピング検査で筋肉増強作用のあるテストステロンか、その類似物質が検出された。違反と認定された場合、ガトリンは2度目になるため、国際陸連は「規則に従って永久資格停止処分となり、9秒77の世界記録も抹消される」と発表した。
ガトリンは自ら声明を発表して衝撃の事実を公表した。声明によると、陽性反応を示したのは4月22日にカンザスシティーで行われた競技会後のドーピング検査。大会ではリレーに出場したが、6月中旬に米国反ドーピング機関(USADA)から「検査でテストステロンか、それに似た物質が検出された」と通告された。結果を知ったガトリンは、ショックを受けたまま6月下旬に行われた全米選手権に出場。しかし、7月に行われた2度目の検査(Bサンプル)でも高いレベルのテストステロンが検出された。
声明では「禁止薬物と知って摂取したことは1度もなく、この結果は説明できない」と弁明。今後はUSADAの調査に全面協力するほか、釈明の場となる聴聞会への出席にも同意した。国際陸連の担当者によると「聴聞会までレースを走らないことでUSADAと同意した」という。
ガトリンは落ち着きがない症状の「注意欠陥多動性障害」(ADHD)を克服するため、子供の頃から薬を服用。これに含まれていた興奮剤が検査で要請反応を示して、01年に2年間の出場停止処分(その後1年に軽減)を受けた。それだけに、グラハム・コーチが「親やコーチも含めて他人から渡されたものは一切服用しない」と話すほど薬の摂取には慎重になっていた。
今年5月には、パウエル(ジャマイカ)に並ぶ9秒77の世界タイ記録をマーク。右ひざの違和感を訴えて今月から競技会には出場していないが、復帰後は“単独”での世界記録樹立を狙うはずだった。友人によると「ここ数日は泣いて暮らしている」という“世界最速の男”が、選手生命の危機に立たされた。
http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2006/07/31/01.html
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