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2006年07月15日

ジダン暴挙の背景

『ジダン暴走』の背景

 「私の非常に奥深いところに触れる言葉だった」。サッカーのワールドカップ(W杯)決勝で、退場処分となったフランス主将、ジダン選手(34)は、出演したテレビで、相手からの侮辱発言を、こう表現した。言葉の内容については「母と姉に関する個人的な内容」と説明したが、こうした中傷になぜあそこまで激高したのか。“暴言”に暴力を振るってしまった背景とは−。

 「すべてのフランス人にとって、ジダンはジダンであり続ける」。共同通信によると、ドビルパン首相は十一日、ジダンに同情的な発言をした。相手のイタリアのマテラッツィ選手の侮辱発言が、家族を中傷する内容だったと分かるにつれ、フランス国内ではジダン選手に理解を示す意見が多くなった。

 マテラッツィ選手が「テロリスト」と言ったとの報道もあったが、現段階では、「売春婦の兄弟(フラテロ・ディ・プッターナ)」と言ったのではないかと受け止められている。ジダン選手もフランスのテレビ局に出演し「母と姉に関する個人的な内容で、とても激しい言葉」「人間として許し難い言葉で傷つけるようなこと」「二度、三度と耳にした」と説明した。

 相手に「サノバビッチ(son of a bitch)」と罵倒(ばとう)する場面は英語小説にも頻繁に登場する。「クソ野郎」などと和訳されることが多い。

 信州大学OBで、フランス人ナレーター・DJのシリル・コピーニ氏は「売春婦の−」的な表現について「これにあたる日本語表現はないが、あえて言えば『おまえの母さんを、ぶっ殺すぞ』ぐらいでしょうか。フランスでも(階層などに関係なく)誰でも使う表現」と“慣用句”だという。だから「ジダン選手が頭突きまでしたのには、何か深い理由があるはずだ」と指摘する。

 背景にマイノリティー(少数者)差別があるかについては「(差別的なのは)フランス国民の中では少数派だと思うし、ジダン選手は国民の多くから愛されてきた。むしろ、貧困層からスーパースターになったことが一層、愛される理由になってもいる」と否定的だ。

■移民問題に火 深刻な事態も

 一方、「フランスで移民差別が激化している現状を踏まえれば、深刻な問題になる」との指摘もある。

 武蔵大学の平野千果子教授(フランス帝国史)は、「ジダン選手がアルジェリア系の移民二世であるということが前提にあると思う」と話す。「テロリスト」という言葉を口にしていなかったとしても、侮辱的な言葉をかけた相手が、ヨーロッパでマイノリティーのイスラム系のジダン選手だったことが差別的意味合いを持つからだという。

 今回、ジダン選手の頭突き行為に理解を示したフランス人は、地元紙の調査で六割以上に上ったが、これも、フランスに人種差別がないからではなく「ジダン選手があまりに偉大だから。極右からは『(白人選手が少ない)ああいうチームは負けてよかった』という声さえ上がっている」(平野氏)という。

 フランス語学校「クラス・ド・フランセ」(東京)のマリック・ベルカンヌ校長のもとへは、フランスの友人たちからジダン選手に同情する電子メールが届いている。マイノリティーではない白人の友人たちからのメールだという。

 マテラッツィ選手の「一言」についてベルカンヌ氏は「フランスではめったなことでは口にしない、とても強い侮辱表現だ。英語のサノバビッチと同レベルと考えてはいけない。ましてや、母親や女兄弟への愛情が強いイスラム系の人々に言うべき言葉ではない」と言う。

 ピッチ上での侮辱発言、挑発は日常茶飯事だ。

■正々堂々より ずる賢さ重視

 サッカージャーナリストの加部究氏は「特にラテン系の選手の間では、正々堂々と戦うこと以上に、ずる賢く戦うことの方が重要と考えられる傾向さえある。かっとなりやすい選手を言葉で挑発するのは常套(じょうとう)手段」と話す。

 一九九八年のW杯フランス大会で、オランダの巨漢GKファンデルサール選手とアルゼンチンの小兵ドリブラー、オルテガ選手が口論になり、オルテガ選手が相手のアゴに頭突きを見舞って一発退場となる。オルテガ選手はこう反省したそうだ。「やつはおれの目の前におあつらえ向きにアゴを出した。あれに引っかかったのは、自分に賢さが欠けていた」

 後で手痛いしっぺ返しを食らったのが、今大会準々決勝イングランド−ポルトガル戦でのポルトガルのロナルド選手。イングランドのルーニー選手が相手DFと競り合い、DFの股(こ)間を踏みつけた。これを見たロナルド選手が審判に故意に踏んだとアピール。怒ったルーニー選手がロナルド選手を突き飛ばし退場処分に。

 ロナルド選手はその直後、監督にウインクしたと報道された。挑発して退場にさせたというわけだ。ところが英国のクラブチームに所属するロナルド選手に非難が集中、自宅の窓を割られ、クラブからも放出をほのめかされた。

 サポーターからの侮辱発言もある。元フランス代表のエースで、「エリック・ザ・キング」とも呼ばれたエリック・カントナ選手(当時マンチェスター・ユナイテッド)は九五年の英プレミアリーグで、退場処分を受けた際にスタンドから「カントナうせろ!」とやじを受けた。すると、そのサポーター目がけて跳びげりを見舞った。

■サポーターの侮辱発言悪質

 サッカージャーナリストの大住良之氏は「暴力のシーンはビデオにも残るが、言葉の暴力は証拠が残りにくく、ペナルティーの科しようがない」と話す。だが、国際サッカー連盟(FIFA)は侮辱発言には出場停止などの罰則を設け、神経をとがらせている。

 むしろ深刻化しているのは、人種差別に絡む、選手よりもサポーターの侮辱発言だという。「フランス、スペインなどで黒人の選手が出てくるとサルのような奇声を発したり、バナナを掲げたりする。こんな悪質な行為を繰り返すと、勝ち点を没収されたり、最悪ではクラブを二部に降格させるなど厳しい処分が科せられる」と大住氏は言う。

 今大会では、ベスト8のチーム主将が反人種差別を宣言するコメントを全世界に発信した。ジダン選手もその一人だ。また「フェア」を合言葉にした。それでも暴力行為に及んだ裏には、決勝当日に母親が体調を崩して入院したという事情もあったのか。

 加部氏は「単に感情が爆発したのではなく確信犯だった。こんな話が許されていいのかと告発したい気持ちがあったのではないか」とみる。ジダン自身も「無意識にとか衝動的にやったわけではない。根本の悪を罰するべきだ」と認めた。

 東京在住のあるフランス人男性は言う。「多民族国家のフランスでは無知から出た一言が、相手を深く傷つけてしまうから、相手の出身などを考えながら、言葉を選んで話すのが普通。マテラッツィ選手には、そこが分からなかったのかもしれない」

<デスクメモ>

 外国に行った際、現地語でまず覚えるのはあいさつと数字。買い物には欠かせない。次に料理名、これも生活に必要。次が怒る言葉、トラブル対処に要る。そして侮辱の言葉、知らずに使って相手を傷つけないため。言葉は怖いが、人類には智慧がある。人とつながるためのユーモアだ。仏ではエスプリという。 

http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/
20060715/mng_____tokuho__000.shtml



W杯決勝再試合も?仏弁護士がジダン問題無効を裁判所に提訴

ドイツW杯決勝が再試合?! 同決勝での頭突きでフランス代表MFジネディーヌ・ジダン(34)=が退場処分になった問題で、フランスのノルマンディー地方の弁護士メハナ・ムフー氏が13日、パリの大審裁判所にジダン退場の無効と決勝再試合を求める提訴を行うと発表した。

「FIFAの規定で禁止されている審判用ビデオ導入に関する見解の相違がある」と同氏。ジダン退場のシーンでは、第4の審判が「頭突きの瞬間を実際に見ていた」と副審に事情を説明。レッドカードによる一発退場となった。

ただ、同氏は判定までに相当な時間があったことなどから、実際には第4の審判の席にあるビデオで確認した可能性が高いとし、ビデオ判定を認めていないFIFAの規定ではジダンの退場も不当と主張している。

「裁判では関係者全員の証言を集め、審判が下されるまでの展開を再現してもらいたい。審判用ビデオを使用したことが証明されれば、決勝の無効を申し立てる用意がある」とも息巻く同氏。これが実現すれば、ジダンの引退試合がまた見られる?

★マテラッツィがFIFA本部で事情聴取
ジダンの頭突き事件で暴言を吐いたとされるイタリア代表DFマルコ・マテラッツィ(32)=インターミラノ=が14日、スイス・チューリヒの国際サッカー連盟(FIFA)本部で事情聴取を受けた。イタリアANSA通信が伝えた。

FIFA、マテラッツィは聴取内容についてコメントせず。ただ、マテラッツィの代理人は「ジダンにのみFIFAからの処分が下されるべき」との見解を表明した。04年欧州選手権でデンマーク代表DFポウルセンがイタリア代表MFトッティに暴言を吐き、つば吐き行為のトッティだけが3試合の出場停止となったことを例に「それとまったく似たケース」としている。

ジダンの事情聴取は20日に行われ、同日、FIFAが両選手への処分を発表する予定だ。

http://www.sanspo.com/soccer/top/st200607/st2006071504.html

マテラッツィはFIFAの聴取に対して、ジダンの姉についての暴言は認めたようですが、テロリスト発言はしていないと語った模様。
そうなると、世界中の読唇術専門家が揃って嘘をついてるか、マテラッツィが嘘を言ってるかという話になる。。。





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posted by zara at 09:37| Comment(0) | TrackBack(4) | W杯ドイツ大会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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