母子3人が死亡した奈良県田原本町の医師宅火災で、奈良地検は12日、放火と殺人の疑いで逮捕された高校1年の長男(16)が「家が灰になってすっきりした」「勉強しなくていいので、留置場は快適だった」などと供述していることを明らかにした。地検は同日、放火と殺人の非行事実で長男を奈良家裁に送致。家裁は2週間の観護措置を決定し、奈良少年鑑別所に収容した。
「家が灰になってすっきりした」「勉強しなくていいので、留置場は快適だった」。地検が明らかにした長男の供述は、事件の重大性を認識しているとは思えないものだった。
これまで長男と接見した弁護士は、長男が「ごめんなさいと何度も心の中で謝った」「後のことを考えなかった自分にすごく腹が立っている」などと深く反省している様子を強調していた。
地検はこの日、長男を家裁に送致。長男が6月初めごろから放火を計画しており「確定的殺意に近いものがあった」として、「刑事処分相当」と検察官送致(逆送)を求める意見を付け、審判での検察官の立ち会いを求めた。
地検によると、長男は動機について「中間テストの成績が悪く母にばれてしまうと思った」「父親(47)の暴力が許せず、日ごろから殺したかった」などと供述。父親への殺意については「バットを持って部屋の前まで行ったが、父が起きたので実行できなかった」などと話しており、死亡した3人の家族については「死んでもかまわないと思った」と供述しているという。
また田原本署捜査本部の調べでは、長男は「居場所を知られるのが嫌で、携帯電話を半分に折って(火災)現場に捨てた」と話しており、捜査本部はこの日までに、焼け跡から携帯電話を発見、押収した。
送致事実によると、長男は6月20日午前5時すぎ、1階の床などにサラダ油をまいた上、火の付いたタオルを置いて放火。2階で寝ていた母(38)、二男(7つ)、長女(5つ)を一酸化炭素中毒死させた。
長男は火災から2日後の22日朝、京都市左京区の民家に侵入しているところを見つかった。地検は住居侵入などの非行事実でも家裁に追送致するとみられる。
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20060713-OHT1T00022.htm
「家焼き尽くす意志明白」と県警 放火殺人、家裁送致へ
奈良県田原本町(たわらもとちょう)の医師(47)宅で母子3人が死亡した火事で、現住建造物等放火と殺人の疑いで逮捕された高校1年の長男(16)は、執拗(しつよう)な放火方法で、家全体を焼き尽くすことへの強い意志をうかがわせていたことが県警の燃焼実験で明らかになった。県警は放火により、2階で寝ていた3人が死ぬかもしれないと認識できた「未必の故意」があったと判断した。奈良地検は12日、「刑事処分相当」との意見をつけ、長男を奈良家裁に送致する方針。
■供述通りに燃える
長男は6月22日の逮捕直後、「コンロで燃やしたタオルを台所近くの1階階段の下においた」と供述。火を付けたとされる場所には古新聞や雑誌が束ねられていた。さらに「最初にサラダ油を広範囲に線状にまいた。タオルだけではなかなか火がつかなかったので、紙や封筒を落とした」と詳細を話し始めたという。
県警は11日、大阪府警本部内の施設で、住宅の一部を模型でつくり燃焼実験をした。長男の供述通りの方法で火が燃え広がるのを確認した。サラダ油は発火温度が高いため引火効果はなく、木造家屋で中央に階段がある構造から、瞬く間に炎上したと分析した。
これらの火を付ける際の状況から、住宅全体を焼き尽くす意志が明白で、殺意について「未必の故意」があったと判断した。ただし、3千円しか持たずに京都に逃亡したことなどから、捜査幹部は「衝動的ではないが、入念な計画性もない」と語る。
奈良地検は、何ら落ち度のない3人の命を奪ったことを重くみて、奈良家裁への送致時に、成人と同じく公開で刑事裁判を受ける「刑事処分相当」との意見をつけるという。
■嘆願書1600余
接見している弁護士は「勉強づけの毎日や父のスパルタ教育から逃げたい一心の衝動的行為」で、長男に確定的殺意はなかったとの見方を示す。勉強を指導する父に暴力を振るわれ、長男は「厳しさに耐えられなかった。今までの自分の生活を消し去りたかった」と打ち明けたという。
長男は父と先妻との子だった。弁護士は「父への不満が事件の背景にあることは間違いない。ただ、父の愛情に飢えていた面もある」との印象を語った。
父と一緒の写真と、誕生日に父からプレゼントされた工具セットをリュックに詰めて、長男は逃亡した。11日の接見で長男は「お父さんに会いたい。会って謝りたい」と漏らしたという。
「家出だけにすれば良かった」とも語り、弁護士へ悲しみに沈む様子を見せるようになっている。7日に焼け跡の現場検証に立ち会ってから特に落ち込みが激しく、「後のことを考えなかった自分にすごく腹が立っています」と後悔の念をみせている。
長男が通っていた高校で、同級生らは「活発で明るく、事件を起こすことは想像できなかった」と口をそろえる。保護者らから寛大な処遇を求める嘆願書が1600通余り集まった。
◇
奈良家裁での少年審判は非公開で進められる。家裁調査官が長男の生活環境を調べた上で、少年院送致などの保護処分か、検察官に身柄を戻すか決める。審判で精神鑑定は申請されない見込みで、早ければ8月にも決定が出る見通しだ。
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200607110150.html
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