オシム苦悩…。サッカーの次期日本代表監督に就任を要請されているJ1千葉監督のイビチャ・オシム氏(65)が29日、再来日してクラブ首脳と緊急会談した。このクラブ側の熱い残留要請に加え、成田空港などで展開されたサポーターの引き留めデモに、就任に意欲的な同氏が最終回答を保留した格好。結論はとりあえず、7月1日にも行われる日本サッカー協会、クラブ、オシム氏の“3者協議”に持ち越された。
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苦悩していた。20日ぶりの日本は残留を願う声に満ちていた。再始動したクラブの練習を約2時間指導したオシム氏は、汗を流して臨んだ会見で固まっていたはずの決意が揺らいでいた。
「実際、オファーは光栄だ。確かにいまジェフを辞め、代表監督にすぐになってもいい。私1人で決断してもいいことだが、社長、GMといるわけだから。すぐに決めることはできない」。身長1メートル91の巨体をマリのように小さくかがめてうつむいた。
自宅があるオーストリアを出発する前には“オシム・ジャパン”の構想まで口にした。だが、再来日した早朝7時の成田空港には約100人のサポーターが集結。ドイツ語で「ジェフで僕たちとチャンピオンになろう」と書かれた横断幕までが掲げられた。
「空港にあれだけのサポーターが来て。愛を持ってくれてうれしい」とオシム氏。昼すぎからは千葉・姉崎でクラブの淀川社長、祖母井GMらと直接会談。ここでも熱い残留要請を受け、自分の中の答えを押し通すことはできなかった。
「1ついえるのは、代表監督になるというのはすごい挑戦だということです」。会見中に何度も『挑戦』という言葉を繰り返したように、日本代表監督への意欲が色あせたわけではない。ただ「他に選択肢もある。いい監督も多い。そこで呼ばれたのは、このクラブがあり、このクラブで出した結果によって。私1人の力ではない。みんながいい仕事、いいプレーをしたからなんだ。そこも考慮しなければいけない」と千葉というクラブあってのオファーだと強調した。
クラブは30日から岐阜・飛騨古川で夏合宿に入る。オシム氏も参加して指揮を執る。日本サッカー協会からのオファーが「7月頭からの指揮」(淀川社長)だったことが判明したが、オシム氏がクラブへの最終回答を保留したことで、結論も先送りされることになる。
日本サッカー協会・田嶋技術委員長が30日に帰国する。クラブ側が求める日本サッカー協会、オシム氏との“3者協議”に応じるためとみられる。同委員長は早ければ、7月1日にも飛騨古川入りする。
オシム氏は兼任監督案について「2つの車はいっぺんには運転できない」と独特の“オシム節”で完全否定した。答えは2つに1つしかない。「決めるときはハッキリ決めます。残るのか代表にいくのか。そんな姿を選手が見たら練習に集中できない」と戸惑いながらも早期決着を誓う。その“最終決断”に日本列島が熱い視線を注ぐ。
■イビチャ・オシム
1941年5月6日、ボスニア・ヘルツェゴビナ(旧ユーゴスラビア)・サラエボ生まれ、65歳。現役時代のポジションはFW。59年に地元のFCゼレツカニール・サラエボでプロデビュー。以後、主にフランスリーグでプレーし、現役を引退した78年から指導者として活躍。86年にユーゴスラビア代表監督に就任し、90年イタリアW杯8強に導く。03年に市原(現千葉)監督に就任。昨季ナビスコ杯優勝に導き、クラブにJ初タイトルをもたらすなどクラブの再建に成功した。
◆千葉・淀川隆博社長
「われわれとしては1年間の契約をまっとうしてほしいと話をし、本日時点で結論を出せないということになった。3者(日本サッカー協会、クラブ、オシム氏)で話すのが一番シンプルな解決策だ。私と協会の人間で(合宿地に)行く可能性はある」
■オシム氏問題経過
★6・24 日本サッカー協会・川淵三郎キャプテンがドイツW杯からの帰国会見で、次期日本代表監督の問題で「オシム…」とポロリ。W杯開幕前に田嶋幸三技術委員長がオシム氏と会って就任を申し入れていたことが判明
★6・25 千葉・淀川隆博社長が「オシムさんの意見を尊重する」とオシム氏の日本代表監督就任を容認する姿勢を示す
★6・26 オシム氏が2年契約を基本にしていることが判明。一方で元名古屋でセルビア・レッドスター会長のストイコビッチ氏が日本サッカー協会から就任要請を受けたと発言した。千葉は緊急幹部会議を開き、前日とは一転、オシム氏に今季中の続投を要請することを決める
★6・27 オシム氏がオーストリアの自宅で田嶋技術委員長から正式に就任要請を受ける。交渉は1時間半。即答は避けたが、受諾に前向きな姿勢を示す
★6・28 オシム氏が本紙に新生日本代表の構想を激白。中盤の軸として、ドイツW杯メンバーからもれたMF松井大輔(ルマン)に期待していることを明かす。オーストリアからドイツ経由で日本に向かった
★W杯視察キャンセル
27日にオーストリアでオシム氏と交渉した後、ドイツでW杯視察を予定していた日本サッカー協会・田嶋技術委員長は、29日夜発の航空機で急きょ日本に帰国することになった。千葉側が求める“3者協議”のためとみられる。「最後の部分でしっかり自分もやるということ」と受諾への自信に変わりがない心境を明かす一方で「今までジェフと3者で話したことがなかった。一緒に話をした方がいい。来てもらえるにしても、千葉のサポーターからも応援してもらえる形にしたい」と改めて誠意と熱意を伝えていく姿勢を示した。
http://www.sanspo.com/soccer/top/st200606/st2006063001.html

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