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2006年06月21日

光市母子殺害事件 判決要旨

母子殺害事件の判決要旨 最高裁



 最高裁が20日言い渡した山口母子殺害事件の上告審判決要旨は次の通り。

 【上告趣意について】

 検察官の上告趣意は、判例違反をいう点を含め、実質は量刑不当の主張であり、刑事訴訟法の上告理由に当たらないが、職権で調査すると、2審判決は破棄を免れない。

 【死刑の判断基準】

 死刑は究極の厳しい刑であり、慎重に適用すべきであることは疑いがない。しかし、判例が示すように、死刑制度を存置する現行法制の下では犯行の罪質、動機、態様、特に殺害手段方法の執拗(しつよう)性・残虐性、結果の重大性、特に殺害された被害者の数、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状などを併せて考察したとき、その罪責が誠に重大で、罪刑の均衡や一般予防の見地からも極刑がやむを得ないと認められる場合には、死刑の選択をするほかない。

 本件についてみると、女性暴行目的で被害者を殺害、さらにいたいけな幼児までも殺害した各犯行の罪質は甚だ悪質であり、2名の尊い命を奪った結果も極めて重大だ。動機、経緯に酌むべき点はみじんもなく、強固な犯意の下に、何ら落ち度のない被害者らの生命と尊厳を相次いで踏みにじった犯行は、冷酷、残虐にして非人間的な所業といわざるを得ない。

 犯行後の情状も良くない。遺族の被害感情は峻烈(しゅんれつ)を極め、慰謝の措置は全く講じられていない。白昼、ごく普通の家庭の母子が、何の責められるべき点もないのに自宅で惨殺された事件として、社会に大きな影響を与えた点も軽視できない。以上の諸点を総合すると、罪責は誠に重大で、特に酌量すべき事情がない限り、死刑の選択をするほかない。

 【酌量すべき事情】

 被告は、暴行については相応の計画を巡らせていたものの、事前に被害者らを殺害することまでは予定しておらず、被害者から激しい抵抗に遭い、被害児が激しく泣き叫ぶという事態に対応して殺意を形成したものにとどまることを否定できない。当初から殺害することをも計画していた場合と対比すれば、その非難の程度には差異がある。

 しかし、反抗抑圧の手段や発覚防止のため殺害を決意して次々と実行しており、殺害が偶発的なものといえない。計画性がないことは、死刑回避を相当とするような特に有利に酌むべき事情と評価するには足りないというべきだ。

 少年審判を含む2審判決までの言動、態度などを見る限り、罪の深刻さと向き合って内省を深め得ていると認めることは困難。成育環境も、不遇または不安定な面があったことは否定できないが、特に劣悪であったとまでは認められない。本件以前に見るべき非行歴は認められないが、犯罪的傾向には軽視することができないものがある。

 結局のところ、酌むに値する事情といえるのは、被告が犯行当時18歳になって間もない少年であり、改善更生の可能性が否定されていないことに帰着すると思われる。少年法は、犯行時18歳未満の少年の行為については死刑を科さないとしており、その趣旨から、犯行時18歳になって間もない少年であったことは、死刑を選択するかどうかの判断に当たって相応の考慮を払うべき事情ではあるが、死刑を回避すべき決定的な事情とまではいえない。犯行の罪質、動機、態様、結果の重大性および遺族の被害感情などと対比・総合して判断する上で考慮すべき一事情にとどまる。

 2審判決および1審判決が酌量すべき事情として述べるところは、個々にみても、総合してみても、死刑を選択しない事由として十分な理由には当たらない。2審判決が判示する理由だけで、その量刑判断を維持することは困難だ。

 2審判決は量刑で考慮すべき事実の評価を誤った結果、死刑の選択を回避するのに足りる特に酌量すべき事情の存否について審理を尽くすことなく、無期懲役とした1審判決の量刑を是認した。刑の量定は甚だしく不当であり、破棄しなければ著しく正義に反する。

 【結論】

 2審判決を破棄し、死刑の選択を回避するに足りる特に酌量すべき事情があるかどうかについて、さらに慎重な審理を尽くさせるため、本件を広島高裁に差し戻す。

http://www.chugoku-np.co.jp/
NewsPack/CN2006062001003636_Detail.html




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