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2008年10月18日

CDSという名の核爆弾

株暴落とまらないには理由がある どこまで膨らむ「CDS」の損失規模

デリバティブの手法を使ったクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)と呼ばれる取引の実態が注目されている。例えば、経営破たんしたリーマン・ブラザーズを対象とするCDSだけで推計4000億ドル(40兆円)にのぼる。この商品を売った金融機関はほぼ全額を失うことになる。金融危機をきっかけに景気が悪くなれば、CDSによる損失の全体額も膨らみ、それがさらなる不安を招き、株暴落の背景にもなっている。
リーマンの40兆円、ほぼ全額失うことに

CDSは、企業が債務不履行に陥った場合、投資銀行などが債務を肩代わりする、いわば「保証」契約。たとえば、08年10月から2013年 10月までの5年間に、ある企業が取引先であるAメーカー倒産リスクを回避したいとする。Aメーカーが倒産した場合、CDSの売り手である金融機関は買い手である企業に1億円(想定元本)を払う。ただし、企業の方は金融機関に毎年、保証料として50万円を支払う、と約束する。

1年後、メーカーが倒産しなければ、企業は金融機関に50万円を支払う。2年後も倒産しなければ、もう50万円支払う。こうして契約期間中に倒産しなければ、企業は金融機関に総額250万円を支払うことになる。

しかし、契約期間中にメーカーが倒産した場合は、金融機関が企業に1億円を支払わなくてはならない。

デリバティブを取り扱う事業者の業界団体である国際スワップ・デリバティブス協会(ISDA)は2008年10月10日、経営破たんした米証券大手のリーマン・ブラザーズを対象にしたCDSの清算価値(リカバリー)が、元本の8.625%に決まった、と発表した。

破たん後に暴落したリーマンの社債の価値などに連動する形で決まったとされ、これにより想定元本(保証金額)の推計4000億ドル(40兆円)のうち、リーマンを「保証」したCDSの売り手金融機関は、リーマンの経営破たんで想定元本の91.375%を支払い、損失を被る。一方、CDSを買った金融機関や企業はその分もうかるわけだ。
「日本の金融機関はそんなにやっていないはず」

CDSには規制がなく、想定元本(保証金額)が引き受けた金融機関の自己資本の数十倍以上になることもある。そういった取引が金融機関同士、あるいは金融機関と事業会社のあいだでサインひとつ、「相対取引」で行われているため、どの金融機関が、どの企業を「保証」して、どれほどの想定元本があるのか、つまり実態は不明だ。

さらにはサブプライムのように、証券会社がこうしたデリバティブ取引を複数束ねて、別の金融商品として販売しているケースがあって、リーマン関連債券がどの程度組み込まれているかなど、購入している金融機関側ですら、すぐにはわからないこともあるという。

リーマンを対象としたCDSばかりに目が行くが、CDS市場はここ数年拡大の一途をたどり、07年末時点で62兆1732億ドルに上る。この中には連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)を対象としたCDSのほか、経営破たんした米貯蓄金融機関のワシントン・ミューチュアルを対象としたCDSなどが含まれていて、その清算が間近に迫っている。

CDSの売り手には、バンク・オブ・アメリカやシティグループ、バークレイズにBNPパリバ、クレディスイスなどの世界の名立たる金融機関が並ぶ。今となっては、なにかあれば公的資金で救済される金融機関ばかりだが、「一般的なCDSの契約は倒産以外にも、大規模なリストラなども含まれているはず。実体経済の後退で企業倒産や大リストラが増えれば、契約は履行されて損失は膨らむ」(外資系証券の関係者)との観測もある。

リーマン級の企業が破たんするのは10年に一度ともいわれるが、世界的な金融危機にあってはそんなデータもまったく当てにできない。ただ、国際金融アナリストの枝川二郎氏は「欧米はCDSに積極的だったが、邦銀はそうでもない。メガバンクなどの一部の大手銀行にあるくらいではないか」とみていて、国内金融機関の痛みが少ないのが救いかもしれない。

http://www.j-cast.com/2008/10/18028717.html


クレジット・デフォルト・スワップ

(Credit default swap) とは、クレジットデリバティブの一種で、債権を直接移転することなく信用リスクのみを移転できる取引である。最も取引が盛んなクレジットデリバティブのひとつ。頭文字をとって CDS と呼ばれることが多い。銀行の自己資本比率を高める対策の一環として利用されるケースも多い。

仕組み

2者間(買い手と売り手)の間で結ばれた次のような契約である。買い手が企業A(参照企業という)への貸付債権や社債を持っている場合などを想定するとわかりやすい。

* 買い手は売り手に定期的にプレミアム(保険料)を支払う。
* 売り手は参照企業Aがデフォルト(債務不履行)した際に、あらかじめ決められたルールに従いその買い手の損失を補償する。

企業Aに対して貸付債権などを持っている銀行がCDSを購入することにより、貸倒れのリスクを分散することが可能となる。

* 具体的な例

A社とB社がリスクの高い社債Lを1兆円づつ購入する。 社債Lを対象にしたCDSをA社とB社が お互いに100億円で売買しあえば、リスクプレミアムは相殺されたまま社債LはBSから消える。

この場合CDSが清算されてもA社B社間での金の移動は起こらないが、 社債Lが900億まで値下がりした場合、CDSで消したリスクが突如として9100億円の実際の損失として発生する。

* 具体的な例2

倒産リスク100%の社債Zを100万円分購入する。利回りは年30%で30万円である。 社債Zを対象にしたCDSを100万円分購入する。これによってZ社が倒産しても社債元本はCDSで帰ってくるのでリスクは0である。通常は社債の利回りが30万円でCDSの保険料は50万円。両建てすると20万円の損のはずだが A社とB社が 社債Zを100万ずつ購入し、A社がB社の社債に対してCDSを引き受け、B社がA社の社債に対してCDSを引き受けるとCDS保険料の50万は相殺されて0円になるので、Z社が倒産するまでは両社は利回り30%の社債 を引当金無しで保有することができる。

価格の設定(プライシング)

プレミアムの決定には金融工学的手法が利用される。それは単に買い手が、両者の期待値を一致させる価格を支払えばよいのではなく、売り手が引き受けるリスクに対する対価(リスクプレミアム)をも支払う必要があるからである。リスクプレミアムは通常、同じ参照企業Aが発行する社債などに織り込まれたものを使う。

CDSの売り手がデフォルトしないという仮定の下ではプレミアムの算出は容易である。しかし、売り手もデフォルトする場合には買い手のリスクが増大する。さらに参照企業Aと売り手のデフォルトに相関がある場合には、プライシングは容易ではない。

マーケット

日本では、主に日本の主要金融機関(みずほ証券など)と外資系証券会社(ゴールドマン・サックスなど)の合計20社程度がマーケットで値付けを行い、数社のブローカー(東短,GFIなど)を経由して取引を行っている。ISDAが提供しているCredit Derivative Master Confirmation Agreementを相対で事前に締結することで、フロント間の契約書のやり取りをなくすことができる。各個別企業の信用リスクを取引する通常のCDS、インデックスCDSとして、流動性が高い主要企業50社の信用リスクを参照としたiTraxx Japan 50(アイフルやソニーなど)、プレミアムが高い企業を参照としたiTraxx Hivol(ソフトバンクや日本航空など)がある。 インデックスのライセンスはMarkit Groupがライセンスを保有し、6カ月ごとにインデックスの見直しをおこなっている。通常、シングルのCDSについては期間が5年で5億円単位、インデックスについては5年10億円単位で取引されている。また、日本では取引されていないが、レバレッジローンを参照にしたLCDXや、ABSを参照にしたABXなどが海外マーケットには存在し、日本マーケットにおいてもリスクヘッジ手法として今後の発展が見込まれる。

CDSを使った商品

CDSを使い、FTD(First to Default)、Nth to Default、Synthetic CDOなどの金融商品をつくることができる。時価評価されないFTDリンクローンは仕組みが非常に分かりやすいものであり、投資家側(プレミアムの支払いを受ける側)にとっては管理が非常に楽であるため、CDSスプレッドが急激に上昇した時などは好まれる傾向にある。

想定元本の推移

* 2001年6月末 6315億$
* 2001年末 9189億$
* 2002年末 2.2兆$
* 2003年末 3.8兆$
* 2004年末 8.4兆$
* 2005年末 17.1兆$
* 2006年末 34.5兆$
* 2007年6月末 45.5兆$
* 2007年末 62.2兆$[1]
* 2008年6月末 54兆$ 史上初の減少(取引のマッチングをカウンターパーティー間で行い、Early terminationを積極的にすすめたことによる)


日本(日銀資料とその報道によるが、数字が一致しない)

* ?    2007年上半期 1457億$
* 大手13行 2007年6月 2700億$
* 日本全体 2007年6月 8128億$
* 大手13行 2008年6月 5541億$

問題点と危険性

ベア・スターンズ、フレディマック、ファニーメイ、リーマン・ブラザーズ、AIG破綻の後、「核のボタンに匹敵する」と言われているのがCDSである。

世界的投資家ウォーレン・バフェットは、CDSの事を「時限爆弾 time bomb」「金融大量破壊兵器 financial weapons of mass destruction」と呼んで、自社バークシャー・ハサウェイによる投資を禁止したと語ったことがある(後に実際には投資中であることが明らかになった。2014年までの債務があるという)。

この例で明らかなように、一旦結ばれたCDS契約は長い期間続く。破綻時以降の支払いは金利部分だけであり、元金を返却するのはずっと後の元の保証した債務の契約終了時でよい。そのためリスクが低いと考えられていたが、逆に言うと引き受けたCDS契約者が破綻した場合支払いはずっと続き、何年か後の元金償還に備えるための資金蓄積が必要である。破綻した理由を問わず保証するのがほとんどであるから、逃れるすべはない。支払いと準備による実質的赤字状態により配当が支払えないから、格下げされ市場による資金調達も不可能で、借り入れても金利が高く逆ざや状態になりうる。会計操作による粉飾決算への動機が非常に高く、市場からの信頼を呼び戻すのに時間がかかる。仮に収益をあげ信頼されても、元金支払い時の手元流動性不足による危機の可能性は残るのである。ゆえに爆弾のような一過性の危機ではなく、これから何十年も続く危機の始まりである可能性がある。

CDSの想定元本は毎年約2倍増加して、2007年末で62.2兆$(6500兆円)あったが、2008年6月末で54兆$(約5500兆円)と初めて減少した。これはベア・スターンズ破綻の影響などが原因と見られる。

米国政府がリーマンを救済せずAIGを救済した理由がCDS問題であると言われる。リーマンはCDSの保有額が大きくないが、米国最大の保険会社で世界中に展開する(130カ国、7400万件)AIGはCDSに積極的に投資し(想定元本4410億$)、もしAIGが破綻した場合影響は世界中に及ぶと考えられたからである。 その後10月10日にリーマンのCDS清算価格が元本の8.625%に決定した[1]。市場推計の想定元本は4000億ドルで、ほぼ全額が失われた。関係者にCDSの危険性を知らせる出来事であった。バーナンキFRB議長の議会証言で、リーマンを救済しなかった本当の理由は「証券会社にこのような多額の資金投入をすることはできなかった」だということがわかった。フレディマック、ファニーメイのCDS清算価格は、ファニーメイが優先債務91.51%、劣後債務99.9%、フレディマックが優先債務94%、劣後債務 98%といずれも90%台であり[2]、金額は多額だが、毀損率は大きくなかった(AIGのCDS清算価格は不明である)。

ベア・スターンズ救済も、デリバティブ持ち高が極めて多かった(想定元本13.4兆$、2007年末)ためと言われる。

制度上の問題の1つは、CDSなどスワップ契約に規制の網がまったくかかっていない事である。規制がないので、お互いに合意すればサイン一つで巨額の保証料が手に入る。値段は特に決まっておらず、相場があるだけである。保証される側は保証を盾にさらに借金を重ね、保証する側は資金がすぐ手に入る。知識がなかったり、これからのつきあいを考えたり、目の前の利益に目がくらむと手を出しやすい(ニューヨーク州政府は、2009年1月からCDSの引き受け手に対し保険会社と同様の規制をすると発表した)。

銀行などのようにBIS規制で、自己資本比率維持の責任を負わないから、「想定元本」(保証金額)が引受会社の自己資本の数十倍以上ある。引受会社もCDSを発行している場合が多い。ある1社が破綻し保証しきれなくなると、モノラインなどと同じように、CDSの保証がない金額は格下げやデフォルト(債務不履行)扱いになり、その連鎖はどこまで及ぶか分からない。誰も救済することができない金額(米国国家予算3兆ドルと比べて)を引き受けているからである。

これから、FRB、SEC、ニューヨーク州司法省などが検査に入った段階で思わぬ結果が出るおそれもある。また収益の多くをCDS保証料に頼ったり、自己資本に算入したりしている場合は、企業の破綻や貸し渋りによる倒産も考えられる。解決策として、CDS自体を相互解消(停止)し、破綻時の保証は政府がするという形があるが、金額の大きさと不確定性から、極めて困難である。

もう一つは、金融工学上の計算に「システミック・リスク(市場リスク)」をほぼ排除していることである。金融上のリスクは「過去の計算」であり、将来を全く保証していない。企業の破綻率の計算はせいぜい10年、良くて30年であり、最近の大型5社の破綻は想定外である。そのため、2008年9月の危機まで関係者に「にせの安心」を生んでいる。62兆ドルは「何をしても無駄」と「なんとかなる」の両極端の思考と、同一の行動を生んでいる(リスク管理がしっかりしている損害保険でも、ロイズが大型ハリケーン被害の支払いで巨額赤字を出したことがある)。

また格付け会社の問題も浮上している。格付けが実際の破綻率とかけ離れたことが主たる問題だが、原因が経済上の大変動ではなく、実態をとらえられない格付け手法によることが問題視されている(クラス・アクションが起こされている)。

またベアとAIG救済の教訓は『単なる「大きすぎてつぶせない Too big to fail」は間違いだが、デリバティブを大量に所持すれば大丈夫』だというモラル・ハザードを引き起こす可能性が高い。

似たような商品で、最近問題になっているのはクレジット・リンク債である。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AC%E3
%82%B8%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%87%E3%83%9
5%E3%82%A9%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%
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Tracked: 2008-10-20 02:32

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