高齢化が進む過疎地域に大きなつめ跡を残した能登半島地震から31日で1週間。石川県輪島市門前町地区(旧門前町)の中心商店街では、160年にわたって続く造り酒屋の酒蔵が崩れ、のれんを下ろす。
化粧品店も、時計店も傾き、崩れた商品がいたる所に散乱。避難した住民の中にも、親族などを頼って市外へ移ろうと考えている人がいる。「もうこの町は元には戻らない」。住民らからは焦りの声も聞かれる。
輪島市門前町走出の「総持寺通り商店街」。1845年(弘化2年)創業の造り酒屋「沢田酒造」の酒蔵は天井が落ち、母屋の柱も壁も大きく傾いた。
「多額の借金を背負って再建しても先行きが見えない」と、13代目の沢田礼(あつし)さん(70)は、肩を落とす。
一時は10人近い従業員を雇い、清酒は県内の品評会で何度も金賞を受けた。商売が細ってきたため、桑の実で造ったリキュールのインターネット販売、居酒屋経営など新たな事業も考えていた。
しかし、地震ですべてがひっくり返った。親族のいる金沢市か東京へ転居するつもりだ。「先祖代々の店を、こんな形で閉めるとは」。沢田さんは悔しそうにつぶやいた。
商店街には、かつて50軒ほどが軒を連ねたが、店主らの高齢化とともに店は減り、現在では20軒ほどになった。地震後の応急危険度判定で、そのほとんどに「立ち入り危険」「要注意」を示す赤や黄色の紙が張られ、店内には、商品が散乱したままだ。
化粧品店を営む吉村美代子さん(70)も傾いた店が「危険」と判定され、約40年続けた店を閉める。新しい口紅を手に取って喜ぶ女性客を見るのが生きがいだったが、「お客さんも年を取れば、化粧をしないので……地震でふんぎりがついた」。
やはり「危険」と判定された時計店の橋爪美智子さん(65)も店をたたみ、アフターサービスだけを細々と続けるつもりだ。
吉村さんは「再開する店はぽつりぽつりだろう。もう商店街とは呼べないね」と目に涙を浮かべた。
昨年2月に輪島市と合併した旧門前町では、人口約7800人のうち、47・35%が65歳以上。避難所で暮らす女性(76)は、生まれ育った門前町地区から、長男とともに金沢市に移り住む。67歳で胃がんと診断され、胃の3分の2を摘出。足の関節も痛めた。築35年の自宅は立て付けが悪くなった程度だが「もちろん門前は好きだけど、高齢者に不便。地震に後押しされた」と話す。
http://backnumber.dailynews.yahoo.co.jp/?m
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避難所になお千人以上 能登地震から1週間
能登半島地震で、輪島市を中心とした被災地では、寸断された道路の復旧工事など震災後のインフラ整備が進むなか、避難所ではなお高齢者を中心に1000人以上の人が過ごす。地震発生から1日で1週間。不安や不眠から体調を崩す人が182人を数え、新たな課題も浮かび上がる。
石川県災害対策本部の3月31日午後8時現在のまとめによると、地震による死者は1人、けが人は重傷者25人を含む279人にのぼった。亡くなった1人は、地震発生時に自宅の庭で石灯籠(いしどうろう)の下敷きになった輪島市の女性(52)だった。
最大震度6強の揺れで壊れた住宅は2千戸を超え、このうち全壊は302戸、半壊357戸。震源に近い輪島市は被害が大きく、538戸が全半壊し、全半壊戸数全体の約82%を占めた。
地震翌日の26日には6市町で最大2624人が避難所に移った。余震が収まりつつあるなかで、31日現在も、なお輪島、穴水、志賀、七尾各市町の34カ所で1139人が避難所生活を続けている。
避難所には各地から救援物資が届いている。石川県は物資が大量に届いて被災地が混乱しないよう、企業や個人からまず電話で申し出を受けて、物資のリストを作り、要望のある物だけを選んで送ってもらう方法を採用。30日までに251件の打診があり、37件を受け入れた。
輪島市も同様の方法を採用しているが、より速やかに被災者の要望に沿った物資を集めるため、ホームページも活用し、物資を募っている。31日は避難所用の使い捨て食器トレー、屋根が壊れた家屋を覆うブルーシートを求めた。
長引く避難生活で体調を崩す人も増えてきている。県のまとめでは、30日夜までに避難所で何らかの不調を訴えている人は182人。このうち97人が不安や不眠の症状だ。県では臨床心理士を巡回させるなど、疲労に対する本格的なケアに乗り出している。
また、余震に対する不安から自家用車の中で寝泊まりする人もいるが、県は実態把握できていない。3月29日早朝には、輪島市旧門前町地区で車の中で暮らしていた男性(44)がエコノミークラス症候群とみられる症状で病院に運ばれた。
県は輪島市と穴水町の4カ所に、仮設住宅計130戸の建設を決めた。しかし、入居できるのは早くて4月下旬。それまでの被災者の健康管理が課題だ。
道路・鉄道網の復旧は急ピッチで進む。崩落で不通になった能登有料道路の柳田―穴水間(48.2キロ)のうち、柳田―徳田大津(21.2キロ)がすでに開通。のと鉄道(七尾―穴水)も30日に運転を再開した。
http://www.asahi.com/special/070325/OSK200703310140.html

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