アスベスト:クボタが患者側と合意 早期の高額補償で決着 大手機械メーカー「クボタ」(本社・
大阪市)は17日、同社旧神崎工場(
兵庫県尼崎市)の周辺でアスベスト(石綿)関連がんの中皮腫を発症した患者に対し、新たな補償として1人当たり2500万??4600万円の救済金を支払うと発表した。工場の影響が否定できないためで、対象は現時点で88人(うちクボタが把握する死者は71人)。支払総額は32億1700万円(平均約3650万円)に達し、患者側と合意した。訴訟せずに交渉開始から1年弱で、高水準の補償をするのは公害紛争としては前例がないという。
同社は、これまで通り個別に因果関係を認めたわけではないが、補償を決めた理由について「石綿を飛散させた企業の社会的責任がある」などと説明している。
同社と患者側によると、今回の救済金は、支給済みの見舞金・弔慰金200万円や、石綿救済新法による給付(療養手当月10万円、遺族弔慰金・葬祭料計約300万円)とは別途支給され、合計額は最高で5100万円以上になる見通し。
同社は支給にあたり、「救済金支払い規程」を新たに策定した。対象者は原則として、(1)中皮腫のほか石綿救済新法の規定を満たす肺がん患者(2)石綿関連の職業歴がないこと(3)神崎工場が石綿を使用していた1954??95年に1年以上、1キロ以内に、居住・勤務・学校のため滞在????のいずれも満たす人。1キロという距離についてクボタは「近隣」を意識して設定したと説明している。
同社と患者側は、規定の適用や例外、不服を検討する「救済金運営協議会」も設置することで合意した。協議会は、クボタ側3人と患者側3人(「尼崎労働者安全衛生センター」と「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」から選出)の計6委員で構成。紛争が起きにくいよう配慮した。
適用にあたっては、奈良県立医科大の車谷典男教授(公衆衛生学)らが旧工場の1キロ以遠でも石綿の影響があるとした疫学調査(統計手法を用いた医学的調査)や石綿飛散範囲の推定などを参考資料にするとみられる。
同社に対しては既に、旧工場周辺で滞在歴がある108人が弔慰金・見舞金(200万円)の支給を申請し、76人が支払いを受けた。【大島秀利】
▽クボタの福田俊弘専務の話 工場の飛散や影響は解明されていないが、否定もできない。患者や家族の精神的苦痛を少しでも癒やし、生活救済につながることを願います。
▽中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会の古川和子副会長の話 金額は一定のものを得られた。責任は不明確だが、ここに至ったのは、過去の公害運動で悲惨な実態を伝えてきた先人たちのおかげ。これを石綿公害のスタートにし、患者や家族のために頑張りたい。
◆クボタの救済内容の骨子◆
▽石綿を取り扱った企業として社会的な責任を認める
▽救済金2500万??4600万円を支払う
▽救済対象は、石綿職業歴がなく、1954??95年に旧神崎工場から原則として1キロ以内に1年以上居住・勤務・学校のために滞在した人
▽同社と患者側で「救済金運営協議会」を設置し、運営方法の要領を決める
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20060418k0000m040082000c.html通常、こういった場合、被害者が訴えて裁判で判決が出て、それから補償って言うケースが普通だろう。その点を考えると評価できる姿勢か。
しかし、何十年にも渡って、アスベスト問題を放置してきたのも間違いない事実アスベスト:クボタが救済金 他企業との格差10倍超もクボタの旧神崎工場(兵庫県尼崎市)周辺のアスベスト被害者に対する救済内容が発表された。交渉からわずか1年で決断し、金額的にも薬害エイズ訴訟和解の一時金に匹敵する内容で、公害学者や司法関係者からは評価の声が上がっている。今回の決断がもたらす意味や影響、クボタの事情を探った。
◇新法不十分 浮き彫り
クボタの救済制度により2500万??4600万円を受け取る患者らと、救済新法によって特別遺族弔慰金(280万円)などしか受けられない患者や遺族の間に、場合によっては10倍以上の格差が生じることになる。
患者側の会見では、「すべての被害者がクボタ並みの救済が受けられるようにすべきだ」との声が相次いだ。各企業の対応はどうか。
奈良県王寺町にある工場近隣の住民ら5人が死亡し、うち1人に弔慰金200万円を支払ったニチアス(
東京都港区)の本社広報チーム担当者は「私たちには私たちの対応があるが、クボタの情報を参考にして考えたい」と語った。ニチアスの子会社・竜田工業(奈良県斑鳩町)の担当者も「(クボタとは)企業規模も違い、どこまで出来るかわからないが、会社として何らかの対応を検討していかなければならないだろう」とした。一方、被害者1人に見舞金200万円を支払った住友大阪セメント(千代田区)は「石綿新法も整ったので、独自の救済は考えていない」とする。
患者支援団体「関西労働者安全センター」の片岡明彦次長は「クボタも、新法も同じ『救済』と言っているのに、これだけ格差があるのは、社会的にも道義的にも許されない」と指摘する。その上で、「格差は、政府や企業から拠出して補い、この『クボタ
スタンダード』の水準の救済を最低限、受けられるようにしないといけない」と強く訴えた。
◇「迅速な決着」評価の声
「個別の因果関係にとらわれることなく、石綿を取り扱ってきた企業の社会的責任として支払いを決めた」。会見でクボタの福田俊弘専務はこう強調した。
これまでは、因果関係が定まっていないことを理由に、被害者側と向き合わない企業が多かった。しかし今回は違った。水俣病などの歴史に詳しい立命館大の木野茂教授(環境学)は「個別の因果関係が厳密にはっきりしなくてもきちんと対応できることを示した。画期的だ」と評価する。
これまでの公害事件の裁判の多くが、判決の確定までに10年や20年かかり、被害者らに大きな精神的苦痛や経済的負担を強いてきた。石綿労災などの損害賠償事例に詳しい古川武志弁護士は「長い裁判で被害者が苦しまずに済んだ点で、加害企業としては高く評価していい。しかし、今回の制度は裁判になったら負けるという状況に追い込まれた結果とも言える。また不祥事で対応を失敗すると、企業の存立が難しくなる事例が相次いでおり、それだけ社会の目が厳しくなっている表れでもある」と分析する。
その上で、古川弁護士は「薬害エイズ訴訟による和解(一時金4500万円など)と比べても遜色(そんしょく)なく、公害史上でこういう形で解決した事例はない。補償レベルなどは他の企業が追随せざるをえないモデルケースになるのではないか」と予想する。
◇求められる株主説明
クボタの決定は、早期解決が経営や企業イメージへの
ダメージを最低限に抑えるとの判断が働いたためと言える。企業の危機管理と社会的責任のあり方を改めて問うことにもなりそうだ。
周辺住民の要求は、「内外の格差」を埋めることだった。旧工場内で関連病になったクボタの社員らの中には、労災認定で治療費や休業補償、遺族補償など計数千万円を受け取るケースがあり、社内規定による2500万??3200万円の上積み補償もある。
しかし、補償制度のない旧工場外の住民は、昨年7月にアスベスト訴訟関西弁護団を結成し、訴訟も視野にクボタ側と交渉していた。こうした中で、旧工場周辺の中皮腫は、偶然では説明できない発生率であることが学者らの疫学調査で明らかになった。これが、社員らへの上積み補償分を最低ラインとした今回の救済金制度への決断につながったと言える。
ただ、支給対象者を原則半径1キロ以内などとしているのは、異論が出るとみられる。中皮腫発症率が異常に高い地域や、石綿飛散の推定範囲は1キロをはるかに超えているためで、患者側とクボタ側で構成する「救済基金運営協議会」で議論するとみられる。
また、因果関係がはっきりしない段階での補償には「クボタの株主が反発する可能性もある」(市場関係者)。福田専務は「株主への理解を求めていく」と力説したが、株主に対する明確な説明も求められそうだ。
一方、今回の決断は業績好調な「クボタの財力から生まれた解決策」(業界関係者)との見方もある。企業の危機管理などを手がけるコントロールリスクス(本社・
ロンドン)日本法人の山崎正晴社長は「企業の対応の温度差によって救済金が少ない被害者に対しては、国が責任を持って対応しなくてはならない」と話している。
◇救済金の対象者 新法給付枠外も
3月に施行された石綿救済新法では、労災補償を受けられない石綿工場の周辺住民と工場労働者の家族らが中皮種や石綿が原因で肺がんになった際に、本人や遺族に医療費や葬祭料、遺族弔慰金を給付する。
今回クボタから救済金を受け取ることになった患者や家族は、この新法での給付対象に含まれるケースが多い。
しかし新法は、石綿被害が、民法などの法律に基づいて事業者から損害賠償された場合には、医療費や弔慰金は給付はしないと定めている。環境省省が、救済金を損害賠償に当たると判断すれば、給付が見送られることになる。
環境省の瀬川俊郎・石綿
健康被害対策室長は「クボタの救済金が損害賠償に当たるかどうかは、今後判断したい。救済金額は民間企業が決めたことなのでコメントする立場にはない」と話した。
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20060418k0000m040159000c.html1kmの線引きってなんだろう?また同業他社はこれに追随できるのか?最後までご覧いただき、ありがとうございます。
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